求人から探していても、自分が求めているものというのは、ないですね。
見つかることは、まずないと思います。
でも、どこかで捜し求めている仕事やビジネスというのは存在するはずですから
相思相愛のように、繋げてくれるきっかけみたいなものが作られるといいですね。
以下、インターネットコムから引用
ジグソーパズル
十八世紀、英国で子供に地図を教えるために作られたというジグソーパズル。日本に根付いたのは意外に新しく、1970年代からだそうだ。見本絵を見ながら、独特の形をした小さなピースを組み合わせていく、手にしたピースがピッタリとはまった時の快感に中毒になる人も少なくない。
我々が行う転職マッチングも、それに近いものがあるかもしれない。キャリア・希望・人柄・勤務地・給与etc、個人を大きな組織・業界のどこにあてはまるか考えていく、ピタリとフィットした時の爽快感はたまらないものがある。
商社勤務Tさん(47歳)がやってきた時、我々はキャリアに見合う求人をみつけられなかった。
検査機器の輸出を長年手掛け、現地法人のトップまで勤めたTさんは海外に多くの人脈を持っているだけでなく、技術にも通じており、その道に関して言えばプロ中のプロだった。人柄も申し分ない。しかし能力・専門性が高すぎて、完全にキャリアがマッチしなければ転職が難しいという状態になっていたのだ。
家庭の事情で一年前に国内勤務に異動、再び海外営業に戻ろうとしたが、すぐには難しく、また現職企業で出来ることに限界も感じていたこともあって、Tさんは今回転職に動いていた。
「生活に困っているわけではないので、気長に探しましょう」
申し訳なそうにしている我々を、Tさんは逆に励ましてくれた。しかし、その後数か月たっても、Tさんにマッチする求人は現れない。我々は定期的にTさんにメールを送りながら、新しい求人が現れないことにもどかしさを感じていた。
転機になったのは、エンジニア採用の件で大手メーカーA社の技術事業部に伺った時だった。それまで人事を通して第二新卒採用のやりとりをしていた我々だが、今回はより即戦力に近い人材を補強したいと言うことで、A社技術部門のキーマンZ氏に直接会えることになったのだ。
ところが、我々が行ってみるとZ氏以外にもう2名、「話し合いに同席させて欲しい」という人物がいた。ひとりは海外事業を統括しているシニアマネージャー、もう一人は人事統括をしている専務だった。
「こちらでも人材の採用を検討しているので、どんな風に仕事が進むのか、一度拝見させてください」二人はそう言って、Z氏の両脇に陣取った。
A社のキーマンがさらに二人加わったことに驚いた我々だったが、とにかく新しいエンジニア採用の要件を定めなければならない。Z氏への質疑を繰り返し、約二十分、必要なヒアリングが終了しかけた頃、両脇のふたりが体を前に乗り出してきた。
「ところでエージェントさんのところに登録されているのは、若い人ばかりなんですか?」
「いえ、そんなことはありません」
我々は多くのスペシャリスト・マネージャークラスの人材も多く登録頂いていることを説明し、その一例としてTさんのことを匿名で紹介した。直前にTさんは、我々の判断で企業に直接売り込むことを了解してくれていたからだ。
話が終わると、3人は我々がいないかのように話を始めた。
「うちだとマーケティングの仕事を任せてみたいね」
「いやあ、向こうで法人を立ち上げた経験があるなら、その方面がいいんじゃない?」
「すると第二か。でも、あそこは今プロジェクト始めたところだから」
「それなら、うちの所属にして独立でもう一本動かす、その方が現実的でしょ」
「能力あれば、香港とバンコクも見てもらえると助かるね」
「サポートに海外営業何人か必要になるな。その手配が難しいかも」
「それも新しい採用でどうだろう?」
3人がいっせいに我々の方を見た。それは新しい事業、新しい部署、新しい仕事が生まれていく瞬間だった。その場にいられたことは、普段のジグソーパズルのピースをあてはめていく仕事とは全く違う、別の種類の興奮だった。
「ぜひ、やらせて下さい。しかし、まずその方(Tさん)の了解を得なければなりません。早速彼に連絡をさせて下さい」
人間はゲームの駒ではない。パズルのピースとも違う。職務経歴書を見ながら、無数の求人にあてはめていく仕事は、どこかジグソーパズルに似ているかもしれないが、人事はそれが全てではない。枠にハマるのではなく、枠を創りだしていく、そういう力が人間にはあるのだ。
転職者のチャンスを広げるためにも、ときにはジグソーパズルをテーブルの上に残して、外にでて景色を眺める…、そんなことも我々の仕事には必要なのかもしれない。
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